Europa ’51 (1952) / ヨーロッパ一九五一年

「ヨーロッパ一九五一年」は、巨匠ロベルト・ロッセリーニが放つ問題作。イタリアにやってきた米国商社の駐在総代理人夫人が、我が子を自殺で失ったことをきっかけに社会の矛盾に目覚める姿を描く。社交生活に忙殺されているうち、息子が寂しさのあまりに自殺してしまいショックを受けた商社マン夫人のアイリーン。アイリーンは次第に社会の矛盾に気付き、底辺で暮らす不遇な環境の人々との隣人愛に目覚めていく。

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Europa ’51 (1952) / ヨーロッパ一九五一年 のあらすじ

ローマに住むアイリン(I・バーグマン)と夫のジョージ(A・ノックス)はいつも社交生活に忙殺されていた。ジョージは米国商社の駐伊総代理人なので、名士のとの交際が多かったのである。二人には十二歳になるミシェルという息子があったが、アイリンは殆んど息子の面倒を見てやることが出来なかった。ミシェルは空襲下に幼年時代を過したので神経質な少年に育ち、母親にかえりみられない淋しさに耐えられなかった。遂に彼はある夜、階段から身を投げた。生命をとりとめて退院した後、容態が急に変ってミシェルは息をひきとった。アイリンは絶望にうちのめされ、健康をも損ね、すっかり人柄が変ってしまった。彼女は左翼の新聞記者で従兄弟のアンドレと交際をはじめ、彼の思想になぐさめを見出した。彼の言葉に心をうたれて、アイリンは進んで貧しい人たちの生活の中へ入つて行った。その中には六人の子持ちのジュリエッタという朗らかな婦人もいた。こうしてジョージとアイリンの世界は全くかけはなれ、二人の愛情は忽ち冷たくなって行った。アイリンは夫の眼をかすめて工場で働いたが、ある夜、彼女はほんとうの人間らしい生活を求めて家出した。彼女は瀕死の夜の女イネスに出会い、イネスが息をひきとるまで親身も及ばぬ世話をした。次いで、彼女は銀行ギャングの一味に加わって殺人を犯した青年を逃してやり、そのため共犯者として警察に連行された。間もなく釈放はされたが、この事件は新聞種となり、ジョージもアンドレも彼女をこのままにしておくことができなくなった。二人は彼女をだまして精神病院へ連れて行った。アイリンの心は奈落の底へおちこもうとしたのが、何ものかが彼女を支えた。それは誠実であり、愛の心であった。牧師は信仰の力で彼女を導こうと試み、判事は現実の社会を彼女に理解させようと努めたが、彼女を納得させることは出来なかった。自分を犠牲にし、隣人愛のみに生きるアイリンは、夫の許に帰ることも拒んで、精神病者たちを愛して生き抜いて行こうと決意した。

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