I Girasoli (1970) : ひまわり

『ひまわり』(原題: I Girasoli )は、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンが主演した、1970年公開のイタリア・フランス・ソ連の合作映画。日本での公開は1970年9月12日。

監督はネオレアリズモ(イタリアンリアリズム)の一翼を担ったヴィットリオ・デ・シーカ。音楽をヘンリー・マンシーニが担当し、数多くの映画音楽を担当した彼の作品の中でも特に評価は高く、主題曲は世界中でヒットした。戦争によって引き裂かれた夫婦の行く末を悲哀たっぷりに描いた作品で、エンディングでの地平線にまで及ぶ画面一面のひまわり畑が評判となった

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I Girasoli (1970) / ひまわり のあらすじ

第二次世界大戦終結後のイタリア。出征したきり行方不明の夫の消息を求め、関係省庁へ日参する女性の姿があった。

戦時中、洋裁で生計を立てる陽気なナポリ娘ジョバンナとアフリカ戦線行きを控えた兵士・アントニオは海岸で出会い、すぐに恋に落ちた。12日間の結婚休暇を目当てに結婚式を挙げたふたりは幸せな新婚の日々を過ごすが、休暇の12日間は瞬く間に過ぎてしまう。精神疾患による除隊を目論んだアントニオは首尾よく精神病院に入院するが、あえなく詐病が露見。懲罰の為、ソ連戦線へと送られることに。見送るジョバンナに「毛皮がお土産だ」と笑顔を見せるアントニオら大勢の兵士を乗せた汽車はミラノ駅を出発した。

終戦後、ジョバンナは年老いたアントニオの母親を励ましながら夫の帰りを何年も待ち続け、ようやく同じ部隊にいたという男を見つける。男の話によるとアントニオは敗走中、極寒の雪原で倒れたという。ジョバンナは愛するアントニオを探しに、スターリン亡き後のソ連へ行く事を決意する。

当時のソ連は社会主義国家であり、ジョバンナが降り立ったモスクワは別世界だった。かつてイタリア軍が戦闘していたというソ連南部ウクライナの街でアントニオの写真を見せて回るジョバンナだったが、一向に消息が掴めない。ジョバンナの前に地平線の彼方まで続くひまわり畑が広がる。多くの兵士たちがこのひまわりの下に眠っているという。無数の墓標が並ぶ丘まで案内した役人の男性はジョバンナに「諦めたほうが良いのでは」と言うが、彼女はきっぱりと「夫はここにいない」と言い拒絶する。やがてとある駅の雑踏の中で、戦後も祖国へは戻らずにロシア人として生活しているイタリア人男性と出会う。しかし彼は多くを語らず、また、アントニオの事も知らないと言う。ジョバンナはもしやアントニオもと、微かな不安を抱く。

言葉も通じない異国で尚も諦めずにアントニオを探し続けるジョバンナは、ある村で写真を見せた三人の中高年の女性達から身振りを交えてついて来るように言われ、一軒の慎ましい家に案内される。そこには、若妻風のロシア人女性・マーシャと幼い女の子・カチューシャが暮らしていた。言葉は通じずとも互いに事情を察するジョバンナとマーシャ。マーシャはジョバンナを家に招き入れる。室内には枕が2つ置かれた夫婦のベッドがあった。マーシャは片言のイタリア語でアントニオと出会った過去を話し始める。雪原で凍死しかけていた彼をマーシャが救ったのだが、その時アントニオは自分の名さえ思い出せないほど記憶を無くしていたという。

やがて汽笛が聴こえ、マーシャはジョバンナを駅に連れて行く。汽車から次々と降り立つ労働者たちの中にアントニオの姿があった。駆け寄ったマーシャをアントニオは抱き寄せようとするが、マーシャは彼をとどめてジョバンナの方を指さした。驚くアントニオ、やつれ果てたジョバンナ。かつての夫と妻は距離をおいたまま身じろぎもせず互いを見つめ合う。ジョバンナの表情が悲しみで歪み、アントニオが何か言おうと一歩踏み出した途端、ジョバンナは背を向け、既に動き出していた汽車に乗せてくれと叫び飛び乗った。そして座席に倒れ込むように座ると、見知らぬロシアの人々が奇異の目で見る中、声を上げて泣き咽ぶのだった。

ジョバンナが去った後、アントニオとマーシャ夫婦は新築の高層アパートに引っ越すが、新しい生活のスタートであるはずのその日の晩、アントニオは物思いに沈んで殆ど口を利かない。そんなアントニオを見てマーシャは「もう私を愛してないの?」と涙を浮かべる。

ミラノに帰ったジョバンナは、壁に飾ってあったアントニオの写真を外して泣きながら踏みつけ、そして男たちと遊ぶ荒れた生活を始める。そんな中で訪ねてきたアントニオの母親はジョバンナの不実を咎めるが、ジョバンナはソ連で見たアントニオの様子を母親にぶちまける。死んでいたほうがましだった、と。

程なくして、マーシャの許しを得たアントニオは約束していた毛皮をモスクワで買い求め、ミラノへ向かう。嵐で停電したアパートの暗闇の中、再会した二人だったが感情がすれ違う。アントニオは毛皮を渡し、もう一度二人でやり直そうと言うが、その時、隣の部屋から赤ん坊の泣き声が。赤ん坊を見て名前を訊く彼に、ジョバンナは赤ん坊の名はアントニオだと言う。ジョバンナもまた別の人生を歩んでいる事を知ったアントニオは、ソ連に帰ることを決心する。

翌日のミラノ駅。モスクワ行きの汽車に乗るアントニオをジョバンナが見送りに来た。二度と会うことは無い二人。動き始めた汽車の窓辺に立ったままジョバンナを見詰めるアントニオ。遠ざかり消えてゆく彼の姿に、ジョバンナは抑えきれず涙を流し、ホームにひとり立ち尽くす。彼を乗せた汽車が去っていったこのホームは、以前戦場へ行く若き夫を見送った、その同じホームだった。

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